お知らせ

30 May,2006
POSTED13:04:04

名刺交換

たいていのビジネスがスタートする時には、まずは名刺交換から、というのがとりあえずの常道でしょう。名刺の整理については様々な書籍・雑誌でそのノウハウが披露されており、あえて、ここでまたひとつの方法を提示したところで、どの程度意味があるのかよくわかりませんが、eメールなどの電子的なツールによりその後のコミュニケーションが行なわれるのが現時点の前提だとすれば、その管理方法も多少は違ったものになってきてもいいかもしれません。

私の場合、交換した名刺は、そのまま名刺フォルダーにいったり、住所データベースに登録する、というような作業を一切行いません。しばらくの間はずっと名刺入れに入れたままです。正確には次のような順序で緩い管理をします。

1)名刺交換直後に、これは何か縁がありそうだ、面白そうだと思った人には、すぐにお礼等のメールを出します。これで自分のメーラーにその人のメールアドレスが保存されることになります。返事が来なくてもあまり気にしないというのが重要でしょうか。

2)そうでない人の名刺もしばらくは名刺入れに保存しておきます。これを一週間から二週間くらいの頻度で見直します。二週間経っても、お互いから連絡をとりあうことがなければ、とりあえずこれは「縁がなかった」という判断を下し、名刺フォルダーに保存されます。名刺フォルダーは単純な時系列で保存しています。アイウエオ順・ABC順とか職種別などより、遥かにアタマにフィットする形で、スピーディに検索できると感じるからです。とりあえず、このようにして「判断が曖昧な人」の名刺は名刺入れからはとりあえずなくなることになります。

3)その簿、数ヶ月経って、その名刺フォルダーの中にある名刺で「名前と顔が一致しないもの」は破棄してしまいます。数年たってから先方から何か連絡がある可能性がまったくないわけではありませんが、ビジネスに繋がる確率はそれほど高くないように思います。

ところで、一般の企業では三年に一回くらいの頻度で人事異動が行なわれる、と考えた場合、名刺交換した時点でのその名刺の寿命は恐らく一年半くらい、と見ておくのが妥当でしょう。従って、最初の年賀状だけは正しい肩書き・所属部署で届けることが可能ですが、二回目はもはや怪しいと考えるべきです。つまり、年賀状を出す相手として相応しいのは「部署や肩書き・会社が変わっても、付き合いたい人」であり、原則自宅宛にお送りするのがよいでしょう。何回も昔の肩書きで頂く年賀状は、「お付き合いがない」ことの証明に他ならず、それ以上の関係になることはほとんどありませんから。

逆に言えば、お付き合いがある場合は頻繁に同じ人と名刺交換しているはずですから、同じ人との頻繁な名刺交換は関係性のアップデート作業ということになります。関係性がアップデートされるという行為はそのままビジネスになっていることが多いはずです。

このように考えると、名刺を中心とした人間関係は、

1)思い出になっている人
2)近い将来、深くなりたいと希望する関係(たいてい片思いだったりする)
3)すでにそこそこ濃い関係を築いている人
の3種類に峻別できるはずです。

1)は現実的には名刺をなくしても支障はないし、3)はほぼリアルタイムに連絡をとれる他の手段(eメールアドレス、携帯電話番号、携帯メール、インスタントメッセンジャーIDなど)があったり、年賀状を出さなくても失礼ではない関係だったりするので名刺の重要性は低いと思われます。紙の名刺でもっとも重要なのは2)の機能です。現在の関係性は曖昧だけど、近い将来の自分の仕事との兼ね合いで、何か関係が発生するかもしれないという淡い可能性に期待して管理していることが多いように思います。

今後は、ビジネスカードとしての名刺のパーソナル化が進むようになるでしょう。要するに、フルネーム、ケータイの番号、そしてメールアドレスといった、比較的寿命の長い個人データをフィーチャしたデザインにするのが正しいということになるはずです。(その人の)所属と仕事をしているのではなく属性(個人的魅力とか、共感するか、など)とのお付き合いでないといずれにせよ長続きしませんからね。

さらに重要なのは、携帯電話に保存されている各種の個人データが最も重要性の高いデータベースになるであろう、ということです。通信事業者としてはこの個人データベースに登録されている各種データベースから発信されるメッセージをどうハンドリングするためのサービスを作っていくかがキモになるはずです。名刺のデザイン自体も、表示されているデータを携帯電話に格納しやすいもの(現時点で言えばQRコードなどを埋め込む、など)に変わっていくことになるでしょう。

ついでに言えば、人材管理は、パソコンで利用しているメーラーに、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のようなシェルデザインをかぶせたものになるはずです。「ごぶさたしてます。たまには食事でもいかがでしょう?」というようなメッセージを出したくなるような「関係性をアップデートしなくては」と思わせるインタフェースデザインが望まれると思います。※現在のSNSは繋がること自体が目的になっているフシがあるのですが、これが「自己中心的に連絡を取りやすくするツール」になれば、もっと実用的になるはずです。名刺から吸い取ったデータが携帯を経由して、自分のSNSに格納される、という図式が現代風かもしれませんね。

Posted by takeda at 13:04 | Trackbacks [0]

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